tale1-0 プロローグ

はじめにいっておくが、俺は犬だ。

名はセルシオン・ルティ・クライシー。

愛称はセシル。

ここへ来る前は、銀河連邦の特殊任務部隊に所属していた。

つい最近まで、俺は宇宙を股にかけて、死と隣り合わせの日々を送っていたのだ。

手違いがあって組織を解雇されてしまったが、俺はそれで良かったと思っている。

もう、あの殺伐とした日々などこっちから願い下げだ。

これからは、かつてからの夢を叶えるのだ。

俺の夢…………

それはペットとしてのんびり暮らすこと。

 
 
ペット
 
 
なんと素晴らしい響きだろうか。

毎日働かずしてご飯が食べられ、好きなことをして日々を過ごすことができる。しかも、飼い主には責められるどころか可愛がられるというではないか。
 
 
最高だ。
 
 
ということで、俺はさっそく戦いとは無縁なゆるい星を探しもとめた。

宇宙は相変わらず、目を覆いたくなるような戦争や犯罪ばかり。条件に合うような場所は、なかなか見つからなかった。

それでも俺は、ついに見つけ出した。

ある惑星のある国。

そこは女王が住む大きな城だった。

元々ペットが沢山いるため、飼い主に極度な干渉をされることもないだろう。

俺はペットにはなりたいが、飼い主とは極力関わりたくないのだ。
 
 
なでなでされるなど、まっぴらごめんだ。
 
 
俺はさっそく、何食わぬ顔で城に潜り込み、勝手に住み始めた。

こういう大きな場所では、そうやっていつの間にか住みつくことができるものだ。

可愛い小動物を無下に扱うものなど、そうはいない。

俺は初日から、城で働く召使い達から美味しいご飯を頂くことができた。

既に満足ではあったが、あるとき俺は、女王の目に留まり、正式にペットとして認められることになった。
 
 
しかし、そこで予想外の出来事が起こる。
 
 
俺としたことが、全くの想定外だ!
 
 
若い女王は、俺に近づいてくると、突くように指をさしてこういった。
 
 
「お前の名は、ニャン・ニャニャンだ」
 
 
そういうと声高らかに笑いだした。
 
 
えー! なんだその変な名前! しかもどっちが苗字でどっちが名前なんだよ!

しかも俺、犬なんですけど!

やめてくれー!